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【コラム】新型コロナウイルス検査について

 

皆様、こんにちは。土屋記念クリニック院長の石田仁也です。猛暑が続く中、いかがお過ごしでしょうか。

 

この度横浜市青葉区のあざみ野に「土屋記念クリニック」を開院し、3ヶ月が経ちました。新型コロナウイルス感染症という未曽有の感染症が拡大する中、今社会は変革の時を迎えようとしています。そこで、医療現場の最近の動向や、一次医療機関の現場の医師の視点からの意見等を皆様と共有していきたいと考え、当クリニックのコラム掲載をはじめました。

 

コロナの話題にはうんざりしている方も多いかと思いますが、第1回は「新型コロナウイルス検査について」ということで、現在行われている新型コロナウイルス関連の検査についてまとめてみました。

 

ここ数ヶ月、コロナに関連する検査体制は飛躍的に整ってきました。しかし、保険診療においては、臨床的に新型コロナウイルス感染症が疑われる場合にのみ、保健所や指定医療機関での行政検査が実施可能であり、無症状者に対する検査は保険適用外となっております。検査体制が整った反面、検査の解釈が非常に難しいため、特に自費で検査を受けられる方は、正しく検査の概要を理解していただき、ご自身に最も必要な検査を受けていただければと思っております。

 

現在行われているコロナ関連の検査は、PCR検査、抗原検査、抗体検査の3つがあります。

PCR検査

新型コロナウイルス感染症の確定診断に用いられる検査です。採取された検体中(鼻腔・咽頭拭い液または唾液)の新型コロナウイルスの遺伝子(RNA)を増幅して検出する検査で、「現在かかっているかどうかを調べる検査」です。感度は高いですが、採取者や周囲の者への感染のリスクが高い、検査に熟練した臨床検査技師が必要、結果判明まで時間がかかる、などの問題点があります。

抗原検査

PCR検査とともに、新型コロナウイルス感染症の確定診断に用いられる検査で、「現在かかっているかどうかを調べる検査」です。鼻腔・咽頭拭い液を用いて簡易的に検査ができ、約30分で結果が判明しますが、PCR検査より感度が低い(偽陰性が多い)、診断には一定のウイルス量が必要なため無症状者に対するスクリーニング検査としては適さない、などの問題点があります。

抗体検査

新型コロナウイルスに「かかったことがあるかどうかを調べる検査」であり、健康診断的な意義があり、疫学調査にも用いられます。採血による検査で、感染後13日以降は非常に感度の高い検査です。しかし、日本では保険適用がない、陰性であっても新型コロナウイルスの陰性証明にはならない、抗体がどのくらいの期間ついているか不明、抗体が陽性であっても再感染を否定できない、など問題点も多くあります。

それでは、どんな場合にどの検査を受ければよいのでしょうか?
まず新型コロナウイルス感染症が疑われる症状がある場合や「濃厚接触者」は、前述の通り、保健所や指定医療機関で行政検査(PCR検査または抗原検査)を行います。
無症状者の場合は、目的に応じてPCR検査または抗体検査を受けることをおすすめします。私の個人的な見解ですが、PCR検査は、身近で陽性者が発生した時など「濃厚接触者」には該当しないが感染リスクの高い方、海外渡航前、国内の移動(帰省など)の前などの陰性確認、といった方が対象と考えております。抗体検査は、過去に風邪症状や発熱があり現在回復している方で新型コロナウイルスの抗体がついているか調べたい方、医療機関のスタッフや、サービス業などの不特定多数の人に接する機会が多く感染リスクの高い方の定期チェック、といった方が対象と考えております。当クリニックでも、このような方々のニーズにお応えするため自費診療のPCR検査、抗体検査を実施しておりますので、是非ご活用ください。

 

また、当クリニックでは風邪症状の患者様も可能な限り対面診療させていただき、新型コロナウイルス感染症が疑われる場合は、適宜指定医療機関での行政検査をご紹介しております。院内感染対策も強化しておりますので、是非ご安心して受診していただければと思っております。

 

今後も、医療従事者として多くの情報を発信していきたいと考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。