土屋記念クリニック、青葉区、あざみ野駅、内科、消化器内科、肝臓内科、放射線診断科土屋記念クリニック

【コラム】肝臓専門医療機関について

 

皆様、こんにちは。土屋記念クリニック院長の石田仁也です。日増しに秋も深まり、朝夕めっきり涼しくなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

 

今年の上半期は、やはり新型コロナウイルス感染症の話題に尽きるかと思います。この未曾有の感染症により、世界は大きく変わってしまったと感じております。今後感染が収束していくのか、このまま一定の患者数を保ちながら治療薬やワクチンの登場を待つのか、予測は難しいと考えます。最近ではマスク着用、手指消毒、ソーシャルディスタンス、咳エチケット等が定着し、「新しい生活スタイル」にも慣れてきたことと思いますが、まずは個人でできる感染予防が最も大切であると考えております。

さて、「土屋記念クリニック」を開院し、5ヶ月目になりましたが、この度9月に当クリニックは「神奈川県肝臓専門医療機関」に指定されました。開院以来、多くの肝機能障害でお困りの患者様に当クリニックを受診いただきましたが、今後は肝臓専門医療機関として、さらに専門的な医療を提供していきたいと思っております。そこで今回、コラム第2回は「肝臓専門医療機関について」ということで、ウイルス性肝炎の助成制度を中心に、肝臓専門医療機関の機能についてまとめてみました。

さて、平成20年より厚生労働省によって「B型及びC型ウイルス性肝炎にかかる治療費の助成」が行われていますが、これは、B型肝炎やC型肝炎に対して、インターフェロンや内服薬によって治療を行っている患者様の医療費を国が助成する制度です。この事業は、

① 肝炎が我が国最大級の感染症であること
② 肝炎に対するインターフェロン治療及びインターフェロンフリー治療並びに核酸アナログ製剤治療によって、その後の肝硬変や肝がんといった、より重篤な病態への進行を防止することができること
③ しかしながら、これらの治療が高額で患者様の治療へのアクセスがよくないこと

といったことを背景に、ウイルス性肝炎の早期治療を推進するために始まりました。

現在、具体的には、患者様の世帯の市町村民税課税年額に応じて、その自己負担限度月額を原則1万円(上位所得階層は2万円)に軽減しております。この制度は、感染経路を問わずに行う助成ですので、どなたでも受けることができますが、申請手続きを行う際の精密検査、治療方針の決定、診断書の作成を行うのが「肝臓専門医療機関」になります。

ウイルス性肝炎をはじめ、肝臓に何らかの原因で障害が起き、これが慢性化すると、肝臓の線維化(肝臓が固くなること)が進行します。この線維化が最終段階まで進んでしまったものが、「肝硬変」です。慢性肝炎における発がんは、線維化の進行とともにリスクが高くなり、発がん率はB型肝硬変で年率3%、C型肝硬変で年率7%程度といわれております。ウイルス性肝炎の治療の目的は、肝硬変への進行や発がんを阻止することで、治療開始は早ければ早いほどよいといえます。ですので、ウイルス性肝炎を指摘された方は、できる限り早期に、助成を受けて治療を始めることをおすすめします。

 

「肝臓専門医療機関」の主な機能は、「ウイルス性肝炎の早期診断・治療」です。しかし、健診・人間ドック等で肝機能障害を指摘され当クリニックを受診される方は、アルコール性肝障害や脂肪肝といった、生活習慣に伴う肝機能障害の方が大半です。当クリニックでは、「肝臓専門医療機関」として、ウイルス性肝炎のみならず、生活習慣に伴う肝機能障害や、その他肝疾患全般に関しまして、専門的な医療を提供していきますので、肝疾患でお困りの方は、是非当院の「消化器・肝臓専門外来」ご活用ください。

次回からも、医療分野のトピックスや肝疾患の話題を中心に多くの情報を発信していきたいと考えておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。